レポート From 小島 良太

28th KOBE MODERN JAZZ CLUB
■2018年3月3日(土曜日)中華会館 東亜ホール
レポート
舞台は「彼ら」のためにある
28回目を迎えた Kobe Modern Jazz Clubが3月3日(土)に神戸三宮の中華会館・東亜ホールで開催された。今回はオランダよりピアニスト、マイク・デル・フェローが来日。ドラムスには彼と同じくオランダ出身で現在は沖縄で活動中のセバスティアン・カプテイン、ベースは関西を拠点に活躍中の石川翔太さんというトリオによる演奏。
マイクはipadやキーボードをライブ前にセッテイング、オペラにちなんだ曲(マイクの父親は著名なオペラ歌手)も演奏するという事で、私の凝り固まったジャズ脳、ジャズ耳でその世界観の理解を得れるかどうか曇りがかった心持ちだった。しかしその曇りがかった心象を終演後に晴れやかな気持ちにさせてくれたのは間違いなく「彼ら」だった。
彼のピアノはたゆまぬ基礎修練および研鑽を多く積んだであろう事が容易に伺える。淀みのないクリアな音色、力強い打鍵でも音の粒が濁らない。これが当たり前のようでなかなかできない至難の業なのはピアノ経験者ならよりお分りいただけるのではないだろうか。

オペラ門外漢の私でも聴いたことがあるオペラ楽曲を演奏していたが、ただモチーフを上辺だけ借りてジャズに転化したようなものではなく、ごくごく自然に演奏の中に馴染んでいた。終演後に彼に話を聞く機会があったが、彼が挙げた影響を受けたピアニストの名前にゴンサロ・ルバルカバやクレア・フィッシャーが挙がったのも頷ける演奏であった。
個人的にはデイヴ・ブルーベック作の“In Your Own Sweet Way”が秀逸なテイクだった。マイクの繰り出す速いパッセージからの転調を挟んだトリッキーな展開でもリズムセクションは振り落とされずに対応、高いテンションを維持して一気に駆け抜けていった。 ドラムのセバスティアンはキッチリとリズムをキープ、硬さのない柔和なスティック捌きが爽快だ。
シャープな切り口でフロントプレイヤーを“邪魔しない”、バランスの取れたドラミング。無駄な音を出さない、叩かない。曲の中でそれを瞬時に判断する力に長けていると感じた。
ベースの石川さんはマイクとセバスティアンとの共演によって、どんどん自分の実力技量を引き出されていくのか、表情から心底演奏を楽しんでいるのが伝わってくる。展開のきめ細やかな構成においても、バンドのラインを見失わず、強固なレールを敷いていた。
メロディックなベースソロも曲毎に聴かせてくれ、彼の実力が遺憾なく発揮されたライブだったと言えるのではないだろうか。
ピアノプレイもさることながら、陽気なMCやアクションを交えるマイクの魅力に観客はすっかり魅了されていた。スマートかつ的確なリズムセクションも舞台に華を添え、マイクを主演とする舞台劇は観客の“盛大な拍手”という明確な評価を受けて見事なフィナーレを迎えたのだった。
演奏の動画はこちらで視聴できます
1st
https://www.facebook.com/Vuoisu/videos/1786001198117417/
2nd
https://www.facebook.com/Vuoisu/videos/1786098344774369/
取材・文:小島良太(ジャズライター、ジャズフリーペーパーVOYAGE編集長)
写真:KOBE MODERN JAZZ CLUB 村田太
Posted by クレフ at 2018年03月09日 14:38
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