Freedom Jazz dance

Freedom Jazz dance

小説 『村田太』

僕の友人にとても面白い人がいます。Yuichi Komori 僕は、コモリンと呼ぶ。

コモリンは、とても面白い。京都大学で哲学を学ぶ、、、この時点で僕は大学名から1人の人物を連想してしまう。そう僕の良く知る皮膚科医も京都大学、、、アレルギーの世界では5本の指に入る名医だそうだが、僕が見る姿は、ただの酔っぱらいでジャズライブのアンコールに至っては知性とはほど遠い悍ましい掛け声を恥じらいなく敢行する。そんな偏見を持ってしまっている、決して全員のはずがないだろう、もしそうなら、、、。話を戻すとコモリンは、作家or脚本家になりたい!!という夢を叶えるため、ロサンゼルスに行ってしまった。それから何年かしてFacebookでまた繋がった。Facebookに彼のホームページを発見して、なんと映像ディレクターという怪しい事をしていた。
そして、どうも僕の分野であるジャズの映像なんかも作っていた。

これ!!



でも、本人はこういうのが作りたいんだろうと僕は思う。とてもコモリンらしい作品だ。うーん、この発想、この視点がコモリンだ。



そして、やっぱりもう一つ面白い事を続けていた。

それは、『毎日小説』というあまり聞き慣れないブログだった。

毎回、タイトルを募集して彼のコモリンワールドを展開している。そんな募集を見て、、、黙ってられない。一応、本人に何でもいいの?と聞いたら、快く『なんでもどうぞ〜!!』と言う訳で『村田太』をリクエストしてみた!!普通でないのは、私も同じか。

さて、そんな訳で『村田太』転用しますね。


今日もせっせとコーヒーカップを磨く。

磨きあげたコーヒーカップをかるく光にかざして、
水滴が残っていないかを確認する。

ほんのりと残っていた水滴をもういちど拭きとって、棚にもどす。

それから、カウンターのお客さんご注文の、
アイスカフェオレを作る。

心のなかで、アイスカフェオレかよ、と毒づきながら。

村田太、36才、独身。
趣味、ジャズ鑑賞、散歩。
好きなもの、静かな空間、コーヒー、甘くないカクテル。
嫌いなもの、とくになし。
職業、喫茶店のマスター。

ただ、もともとやりたくてジャズ喫茶をやっているわけではない。
ただ親父が好きで初めて、地元の人に愛されて、
ここまでつづいた店。

親父は一言も跡を継げなどとは言わなかった。
いや、どちらかといえば、好きなことをやったらいいとさえ言ってくれた。
それでも、僕は継いだ。

なぜかと問われれば、自分でもわからなくなる。

もちろん小さい時から出入りしていたこの喫茶店が好きだ。
かといって、カウンターの中に入るほどかどうかは考えたことがない。
コーヒーの香りはとても好きで、自分で淹れるのも好きだ。
ただ、人のためにそれをしたいかというほどかは考えたことがない。
ジャズはたしかに好きだし、ずっと聞いていられるのも嬉しい。
そうはいっても、たまにはバカみたいなジェイポップだって聞きたくなる。

正直、自分のために何かを真剣に考えるということがあまりないのかもしれない。
もともと、なんとかなると思ってここまで生きてきたから。

そして、周りの友達が就職でさんざっぱら苦労している間に、
こそっと喫茶店に収まったのも、図々しいというか、なんというか。
とにかく自分らしい。

ただ、だからといって、自分のコーヒーにこだわりがないとか、
味がわからないとか言うわけではない。
現地まで豆を調達しに、なんて暇なことをやろうなんて思わないけれど、
それでも、手に入る範囲で、豆を厳選し、その日の空気に合わせて、
入れ方を微妙に変えて、そして、毎日楽しめるコーヒーを。
そう思って、働いてはいる。

そこらへんにいるコーヒーかぶれなんかよりは、よっぽど真摯に
コーヒーに取り組んでいるのだ。

それなのに、アイスカフェオレとは。
別に悪くはないのだが、初めてきた時くらい、コーヒーを頼めばと思ってしまう。

そして、こんなときこそ、早く副業のほうに戻りたいなと思ってしまう。

村田太、36才、独身。
副業、殺し屋。

副業がどっちかはもう言えなくなってしまっている。
そして、この喫茶店を継いだのも副業のためだったのかもしれない。

知っている客は、店に入ってきて、こちらをチラとも見ずに、
カウンターの一番内側の席に座る。

大量のジャズのレコードとスピーカーが置いてある真横。

ここなら、ほとんどの会話が聞かれる心配はない。

副業の客の場合は、その席に座って、コーヒーを注文する。
いつもより濃い目と添えて。

僕は、その客をほとんど見ずに、かしこまりましたとだけ言って、
カウンターの内側に入る。

すこしだけ、スピーカーのボリュームをあげる。

コーヒーを濃い目につくって持っていく。
お会計の紙と一緒に。

するとお客は僕に軽く耳打ちをする。
ターゲットの名前を。

僕はもういちどかしこまりましたと言う。

そして、喫茶店を閉めた僕は、情報屋とおちあい、ターゲットの場所を確認する。

ターゲットにそっと後ろから近づき、
特注のサイレンサーをつけたM1911の引き金を弾く。

あまりにも静かな殺しは、繁華街では気付かれない。
不関心と無関心。
ターゲットは倒れる。酔っぱらいのように。
そして、僕は何事もなかったかのように立ち去る。


ここまでが僕の考えた副業、殺し屋のシナリオなのだが、
いまだに客は一人も来ていない。

だから、僕は今日もコーヒーカップを磨くだけ。


__________________________________


いっておきますが、小説とはフィクションです。作り物です。
みなさまの楽しめる範囲で楽しんでください。

理解も解釈も自由です。

ぜひとも、この素晴らしいコモリンワールドを皆様に知って頂きたい!!


コモリンワールド入り口
http://ameblo.jp/yuichikomori/

http://www.yuichikomori.com/

Posted by クレフ at 2014年07月28日 14:19 その他現代ジャズシーン
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